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2023年度 高校入試解答解説

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2023年度入試解答解説

国語

出題形式と配点

大問 出題内容 漢字/語句
【配点】
文法
【配点】
読解
【配点】
記述(40字以上)
【配点】
合計
【配点】
1 論説文 1問 6点 1問 2点 4問 18点 1問 8点 7問 34点
2 表現 4問 12点 1問 6点 5問 18点
3 漢字 1問 6点 1問 6点
4 古典 1問 2点 1問 3点 5問 14点 7問 19点
5 小説文 3問 9点 2問 8点 1問 6点 6問 23点
合計 6問 23点 2問 5点 15問 52点 3問 20点 26問 100点

問題の傾向と内容

大問数は例年通りの5問となっています。総問題数は、昨年の24問から微増しており、文法問題が減り、漢字や語句などの知識問題、読解問題、40字以上の記述問題が増えました。また、漢字や語句などの知識問題、40字以上の記述問題の配点割合が全体に対して去年より高くなっています。
読解問題では、例年抜き出し問題が4~5問出題されることが多かったのですが、今年は2問だけとなりました。また、記号問題が増えましたが、2つないしはすべて選べという形式の問題が4問出題され、うち3問は完答で得点となっており、全ての選択肢を読み、正しく選択肢を絞り込む力が試されているといえます。限られた試験時間の中で、本文、設問、選択肢を素早く読み取る必要があるでしょう。そして、記述問題は、毎年のことですが、過去問を解いて形式に慣れておくことが大切です。過去問をはじめ、たくさん国語の問題を解き、読解練習を繰り返すことをお勧めします。

【大問1】論説文
内容は、自然界の共生から学ぶ、人間が共生関係を強固に築く上で必要なことについてでした。よみがな、文中の空欄となっている箇所に適切な表現を本文から抜き出す、などの例年通りの問題が出題されています。また、空欄に当てはまる熟語あるいは三字熟語を本文をふまえて記号で選ぶ問題は、読解力ばかりでなく、語彙力も試されていると考えられます。普段から、少しでも分からないと感じた言葉は、意味だけでなく、使い方や例文も確認しておくと力になります。
さらに、段落と段落の関係、論理の展開など、論説文を読解するうえで基本的な着眼点をいつでも心に留めて問題を解いていくようにしましょう。また、記述問題は70字以上90字以内で与えられた3つの具体例の中から1つを選び、2つの視点から具体例に関して対比的に説明することが求められました。今回の記述をまとめる上でとても大切なのが対比的に述べるという点です。2つの事柄を比べて「〇〇に対し、〇〇だ。」という形でまとめればよいと分かっていれば、あまり悩まずまとめることができるはずです。普段から、設問で求められていることを1つも読み落とさないように注意深く問題を解き進めること、さらに、過去5年間分の長野県の過去問演習を繰り返し行い、どのように文章をまとめれば良いのか、傾向をおさえておくことが大切です。
【大問2】表現
文化祭での地域貢献活動の発表について話し合っている場面からの出題となりました。資料が話し合いの様子の会話文も含め4つとなっています。例年は敬語や主述のねじれの訂正などの問題が出題される中、今年は全て読解問題となりました。ただ、読解問題のレベルとしては例年と変わらず、発言の意図や共通点を読み取らせる基本的な問題が出題されました。
また、大問1に引き続き、40字以上50字以内で、2つの異なる意見を踏まえ、資料の中の言葉を用いて場面に合う発言をまとめさせる問題が出題されました。文字数が例年より多く、一見難しそうに見えますが、「資料の中の言葉を用いて」という部分を読み落とさなければ正解できる問題です。こちらも、例年の出題傾向と類似しているため、長野県の過去問演習を欠かさず行っておきましょう。
【大問3】漢字
誤って使われている漢字を探し、同じ読みの漢字で正す問題です。出題の仕方は昨年と変わりませんでした。漢字の意味や言葉の意味にも着目し、同音異字、同訓異字について普段から力を入れて学習しておきましょう。
【大問4】古典
古文の『伊曾保物語』の一節と漢文の『荘子』の一節の書き下し文という2つの文章から出題されました。例年通り、現代仮名遣いが出題されています。また、漢文では、返り点をつける問題も出題されました。基本的な古典の文法や知識はしっかりと復習しておきましょう。難易度としては、古文は比較的平易で分かりやすかったと思います。問題も記号問題が多く解きやすさがありました。
一方、漢文は、荘子の一節ということで読みづらさを感じた生徒もいたかもしれません。今回のように、2つの文章が出題された場合、その2つの文章は共通点があると考えられますので、片方の文章をヒントに、内容を押さえながら共通点はどこか考えてみましょう。
【大問5】小説文
力士の髷を結う床山という仕事している見習いとその先輩である床芝との会話を中心とした物語でした。今年は、行書の特徴が問われました。行書が出題されること自体が久方ぶりとなり、さらに、特徴の問題ということで、他県の過去問も使用して知識問題の様々な傾向に慣れておくと良いでしょう。また、本文の表現と同じ意味となる四字熟語を選ぶ問題も出題されました。現段階であまり四字熟語を知らないという場合は、少しずつ意味を確認して語彙の量を増やしておきましょう。また、四字熟語に限らず、慣用句などにも関心を持って、学習をすすめていきましょう。
今回、記述問題は2問出題され、1問は、印象に残った場面についてまとめた文章の空欄補充でした。字数は15字以上25字以内となっており、本文中の登場人物の台詞に注目して空欄に当てはまる内容を読み取り、まとめる力が必要です。もう一つは、最終問題の60字以上80字以内の記述問題です。登場人物の心情についてまとめられた文章の空欄補充でした。今回は、付せんという形で資料が2つ与えられており、それぞれの資料から、床芝を改めて尊敬する気持ちや、自分のこれまでを振り返って至らなさに気づいた気持ちを読み取ることが必要でした。本文、資料を合わせて、登場人物の心情の移り変わりを確実に読み取る練習が必要です。物語の中で、どのように登場人物の心情が移り変わっていくのか、何がそのきっかけとなっているのか、読解する時は必ず考えるようにしてみてください。

数学

出題形式と配点

大問 出題内容 基本
【配点】
記述・作図
【配点】
応用
【配点】
合計
【配点】
1 基本計算・図形(求角・作図)・確率 11問 33点 1問 3点 12問 36点
2 データの活用・文字式の利用 4問 9点 1問 4点 2問 6点 7問 19点
3 Ⅰ:一次関数の利用 Ⅱ:二次関数 2問 4点 2問 6点 5問 13点 9問 23点
4 平面図形 2問 4点 3問 9点 3問 9点 8問 22点
合計 19問 50点 7問 22点 10問 28点 36問 100点

問題の傾向と内容

昨年度(令和4年度)と比較して、全体の問題数の増減はなく、大問ごとの配点についても大きな変更はなく、例年と変わらない傾向にありました。出題内容としては問2に新単元の箱ひげ図が出題されました。初めての出題ですが、難易度は高くないため大きな影響はありません。
全体の配点では、問4の証明の記述が増えた影響で記述問題の配点が6点分増加しました。基本問題の配点は変わらず、応用問題の配点が減少しました。昨年(令和4年度)と比較すると易化した問もありますが、文章量が多く情報を正確に読み取ることが難しい問題も多く、時間配分や解くべき問題選びなどの重要さが際立った入試でした。
対策としては、長野県の入試過去問だけではなく他の都道府県の入試過去問を時間を計って解き、様々な問題パターンに慣れることや時間配分が上手になることです。

【大問1】基本計算・図形(求角・作図)・確率
■出題内容
問題数、傾向について大きな変更はなく、配点も12問×3点の36点と昨年同様です。
内容は基本計算、図形の作図や求角、確率、関数知識などですが、(7)ではあまり出題のなかった有効数字の問題が出題されました。また(9)の連立方程式は単純な計算ではなく、方程式の解や連立方程式の意味を理解していないと解けない問題でした。
■対策
問1はテストの3分の1の得点を占めます。長野県入試を攻略する上ではまず問1が確実に得点できるようにすることが重要です。そのためには中1~中3の計算や各単元の基本問題が素早く正確に解けるように練習することが必要です。それらの基礎が出来たところで、長野県の入試過去問の問1や他の都道府県の入試過去問の問1で練習を重ねましょう。
【大問2】データの活用・文字式の利用
■出題内容
傾向の変化がありました。昨年までは3つの単元から構成されていましたが、今年は2つの単元に変更されました。
さらに1つ目の単元に「箱ひげ図」が初めて出題されました。基本問題ではありますが、ヒストグラムと見比べたり、箱ひげ図から読み取れる内容を解答するなど、箱ひげ図の問題に慣れている必要がありました。
2つ目の単元は文字式による説明が出題されました。条件や規則は単純なものでしたが、全体的に文章量が多く必要な情報を素早く正確に読み取る必要がありました。(1)では読み取った情報を文字に置き換えて説明する力、(2)では(1)の考え方から予測を立て処理する力が必要で差がつく問題でした。
■対策
問2は様々な単元から2~3単元が出題されます。特に連立方程式の利用、規則性、文字式による説明、データの分析、空間図形からの出題が多い問です。これらの単元の応用問題どれが出題されても対応できるように練習する必要があります。苦手な単元があれば1つ1つ出来るようにして、どの単元が出題されても確実に得点できる力をつけましょう。
【大問3】Ⅰ:一次関数の利用 Ⅱ:二次関数
■出題内容
問題数、傾向について大きな変更はなく、例年通り関数からの出題となりました。Ⅰは一次関数の利用、Ⅱでは二次関数からの出題となりました。Ⅰは身近なものを一次関数にした問題で誘導に従って解けばそこまで難しい問題ではありません。しかし、問2同様に文章量が多く必要な情報を読み取りそれを活用する力が求められました。また関数のグラフの描き方やグラフの交点が何を表しているかを理解している必要がありました。
Ⅱは座標平面上の問題で、座標間の距離、平面上の三角形の面積、等積変形の利用など頻出問題が出題されました。
■対策
問3は関数からの出題が続いています。特に「一次関数の利用」、「二次関数」は頻出です。
一次関数の利用は身近な例(料金、速さと時間、水そう)を関数にしてグラフにする、複数のグラフの交点や座標が何を表しているか、またそれぞれのグラフの式を求める力が必要です。全体的に文章量や情報量が多く、必要な情報だけを読み取る力が必要です。二次関数はy=ax2のaの値の求め方、座標平面上の三角形の面積、等積変形の利用など関数や座標の扱いに慣れている必要があります。
どちらの問題も長野県だけではなく他の都道府県の入試でも頻出のため、様々な問題に触れて情報の読み取りや立式に慣れて解ける力をつけましょう。
【大問4】平面図形
■出題内容
問題数、傾向について大きな変更はなく、例年通り平面図形に関する出題となりました。
平面図形に関する出題は例年通りですが、円に関しての出題は3年ぶりです。問4は例年難易度が高いですが、今年も難易度は高めでした。最初に提示される作図条件において点Pの条件が問題によって変わります。様々に変化する点Pに対応する必要があります。条件は複雑ですが、誘導に従っていくことで最後の問題までたどり着くことができます。毎年必ず出題される証明は、「半円の弧に対する円周角」や「二等辺三角形になることの証明」など頻出ではありますが、語句を正確に記述できるかどうかで差がつく問題でした。
毎年正答率の低い傾向にある最終問題の(4)は例年と比べると易化していました。内容は頻出の相似な図形を見つけ、相似比や三平方の定理を利用して解く問題でした。しかしこの問題を解くためにはある程度時間が必要なため、相似関係の図形をすぐに見つけ、三平方の定理の正確に早く計算をする力が必要でした。
■対策
平面図形は慣れが必要です。まずは中2で学習する「三角形・四角形」、中3で学習する「円周角」「相似」「三平方の定理」などの基本が出来ることが重要です。その上でこれらが複合した問題を演習する必要があります。しかし相似や三平方の定理は中3の2~3学期で学習する単元のため、対策がどうしても最後になってしまいます。学習してから入試までの期間が短いので、短期間で応用問題に対応する力を身につける必要があります。
可能な限り中3の12月までに三平方の定理まで学習を終わらせて、入試直前の冬休みには長野県の過去問などを利用して平面図形の対策に入りましょう。

英語

出題形式と配点

大問 出題内容 記号
【配点】
記述
【配点】
合計
【配点】
1 リスニング 9問 18点 1問 2点 10問 20点
2 小問・英作文 5問 13点 6問 17点 11問 30点
3 長文読解 6問 18点 2問 5点 8問 23点
4 複合読解 4問 9点 5問 18点 9問 27点
合計 24問 58点 14問 42点 38問 100点

問題の傾向と内容

昨年と同様4つの大問で構成されていましたが、難易度は上がったと言えます。各大問別にみると、【問1】リスニング、【問2】小問・英作文、【問3】長文読解、【問4】複合読解という形式で、記号で答える問題が58点分、記述が42点分でした。昨年度は記号問題の配点が71点分、記述問題の配点が29点分だったことから、記述問題の量がどれほど増えたか分かります。
初めてリスニングで記述問題が出題されたことも特筆すべき点です。新学習指導要領になり、『現在完了進行形』『原形不定詞』も初めて出題され、全体的に単語の難易度も上がっています。新学習指導要領、大学入試改革の影響もありますが、科目としての習熟度だけでなく、日常生活に根ざし、コミュニケーションを図れるレベルの英語が求められていると考えられます。

【大問1】リスニング
(1)は例年通り、イラストを見て正しいものを選ぶ問題です。(1)は問題が一度しか流れないので集中して聞き取る必要があります。(2)は対話文、館内放送を聞き、質問に答える問題です。例年とは異なり、選択肢が日本語で書かれていました。
(3)(4)は対話文を聞き、2つの質問に答える問題ですが、(4)No2は、適語補充の問題でした。この形式の問題は長野県の入試では初めて出題されました。対話が中心となり、日常で起こりうる場面が取り上げられています。普段から教科書を音読し、CDを活用して、ネイティブの発音や抑揚やスピードに慣れること、洋画や洋ドラマを字幕で見ることをお勧めします。
【大問2】小問・英作文
Ⅰ(1)は適語を記号で答える問題、(2)(3)は不足している語句を補い、英文を完成させる問題です。特に(2)(3)は単語力、及び文法の知識が問われる問題で、毎年正答率が低い傾向にあります。文法の知識は中学2年までの内容が大部分を占めていますが、今回は『現在完了進行形』の問題が出題されました。英語で日記を書いて、文法の総合的な力を鍛えましょう。
Ⅱは、体験記、意見交換会のやりとりを読んで、正しいものを選択する問題、交換会に使用された順にイラストを並べる問題でした。ただ単語を追うだけで解ける問題ではありません。内容をしっかりと理解しなければ正答に辿り着かないので、短めの読解問題に取り組み、文法や単語を定着させていきましょう。
【大問3】長文読解(スピーチ原稿)
■本文要約
食べることは動物や植物の命をもらうことだ。だから、自分が焼いたパンを破棄することを決してしない。広島県にはそんなパン屋がある。「食べる」とはどのような意味を持つだろうか。世界には満足に食料を得られない人が800万人おり、毎秒17人が飢えで亡くなっている。「飢えで亡くなる人がいない世界を作る」。そのようにSDGsで設定された目標期限まであと7年。2050年までに人口は90億にまで達する見込みだ。地球温暖化と同様に、食糧不足も世界の問題だ。私たちにできることは、日々の食料廃棄を減らすこと。食料廃棄の多くは、家庭から出ている。『食べること』は生きる助けになるだけでなく、私たちを世界に繋げることでもある。私たちにもできることはある。
■問題傾向
食糧問題をテーマにした沙恵のスピーチ原稿(400語程度、A4サイズ1ページ分)に関する問題が出題されました。SDGsと絡めた社会問題を扱っているため、本文の内容理解が難しくなっています。下線部が指す具体的な内容を答える問題、自然な流れになるように英文を並び替える問題、原稿の内容に合うものを選ぶ問題など、内容読解を問われる問題が主体です。
しかし、適語補充問題、正しい単語を選択する問題の難易度が上がりました。新学習指導要領により、単語・熟語の量が増え、難化したこと、大学入試改革に合わせたことが考えられます。まずは文法の復習と長文に慣れること、全国の類題(SDGs関連)に多く取り掛かれるように早めの対策が必要です。
【大問4】複合読解
■本文要約
「再配達システムによって、ドライバーが忙しくなっている。再配達を頼むべきではない」という投書が新聞に掲載された。それを読んだリー先生の問いかけから、クラスでこの問題について話し合うことになる。そのために、海、知恵、メイが見つけたウェブサイトには、国土交通省が調査した再配達率がまとめられていた。「いつも家にいられない。再配達を頼まないとするとどうすればいいか」という海の問いを受け、3人は次のウェブサイトを見つける。それは無料で使える宅配ロッカーに関するものだ。宅配ロッカーには、ドライバーも利用者双方に向けた利点がある。調べたことをクラスで発表した後、3人の生徒はとリー先生と話をする。リー先生は、最初の投書に対する新たな意見を取り上げ、3人は再配達に関して、さらに話し合いを深めていく。
■問題傾向
「再配達」に関する新聞の投書を読み、リー先生と3人の生徒(海、知恵、メイ)がウェブサイトを通して、再配達について話し合いをしている内容です。新聞の投書、2つのウェブサイト、生徒と先生のやり取りの4つの本文から構成されています。各本文は100~150語程度で、合計すると400語程度になりますが、選択問題もすべて英文になっているため、英文の量が多いと感じる生徒さんもいるでしょう。
本文の内容に合うものを選ぶ問題、空欄に適した文を選ぶ問題、適語補充の問題など内容読解を問われる問題が主体となっています。また最後の問題は抜き出しですが、『原形不定詞』の知識も必要です。今年度も、20語以上で書く英作文が出題されています。後半の問題のため、時間が足りない可能性もあります。長文を早く読む練習をし、英作文を書く時間を捻出しましょう。

理科

出題形式と配点

大問 出題内容 記号・数字
【配点】
用語
【配点】
計算
【配点】
記述
【配点】
合計
【配点】
1 生物 5問 12点 2問 4点 1問 3点 2問 6点 10問 25点
2 化学 5問 12点 3問 7点 1問 3点 1問 3点 10問 25点
3 地学 4問 8点 2問 4点 3問 7点 2問 6点 11問 25点
4 物理 2問 5点 1問 2点 4問 11点 3問 7点 10問 25点
合計 16問 37点 8問 17点 9問 24点 8問 22点 41問 100点

問題の傾向と内容

例年通り、生物・化学・地学・物理の各分野から均等に出題されました。
昨年と比較すると記号選択問題の数は10問(25点)から16問(37点)に増えました。用語記述と記号選択で50点以上を取ることができるようになっています。また、記述は9問(27点)から8問(22点)へ、13問(36点)から9問(24点)に減りました。計算問題・記述問題を減らし、記号選択を増やしたことで、試験全体を通して昨年に比べると易化しています。
本年度の問題傾向として、実験問題では、結果を考察させるのではなく、結果を先に提示して実験結果から考察させる問題が多く出題されたことが挙げられます。この形式は、普段の問題演習などでよくみられる形式なので、慣れている人も多かったでしょう。ただし昨年と同様、生活に密着した内容を出題し、「どのように調べたら良いか(対照実験/大問1のⅠ、大問3のⅠ)」や「実験結果からどのようなことがわかったか(大問4のⅠ)」など、実験から考察させるという傾向は変わっていません。普段から実験については「何を知ろうとしているのか」「なぜその操作を行っているのか」に着目して考える習慣をつけていく必要があるでしょう。
また、普段から新聞やニュース番組に触れることが大切です。SDGsに関連した問題が出題されるのは、定番になってきました。身の回りで起きていることや身の回りのものに興味関心を持って生活することが、入試の対策につながっていきます。「興味関心をどこに持ったらいいのかわからない」という中学1年生、2年生のみなさんは、まず教科書のコラムや資料集を読みこむことから始めてみると良いでしょう。

【大問1】生物分野
Ⅰではフクジュソウの開花(1年範囲)、Ⅱでは刺激と反射(2年範囲)が出題されました。Ⅰ、Ⅱとも前半の記述・選択は平易な内容が多く、後半の実験・考察・記述で難易度が上がっていました。
Ⅰはフクジュソウの観察結果を見てその後の実験や結果を選択肢から選んでいく問題でした。前半の基本的な用語や選択肢は取り切りたいところです。後半の実験観察は表と選択肢をよく確認すれば解答にたどりつけます。普段の問題演習では見慣れない「フクジュソウ」という植物の名称で焦らずに、きちんと問題を読む必要がありました。
Ⅱは刺激と反応について出題されました。定番の内容が多く比較的易しくはありましたが、「反射」の仕組みについて説明させる問題もありました。普段から用語や現象について自分で説明できるくらいの理解をしておくことが大切です。
【大問2】化学分野
Ⅰは化学カイロ(2年範囲)、Ⅱはマイクロプレートを使った実験(3年範囲)についての出題でした。大問2も比較的定番の問題が多く出題されており、理科の計算問題が苦手な人は大問1、大問2で点数を取り切る必要がありました。
Ⅰは鉄粉・活性炭に対して食塩水の濃度を変える実験について考える問題でした。難しくはありませんが、質量パーセント濃度の計算に時間をかけすぎてしまう人がいたのではないでしょうか。食塩水についての方程式を解き慣れておく必要があったでしょう。
Ⅱはマイクロプレートを使った、金属のイオン化傾向を問う問題でした。解答するためには中学理科でよく出てくるマグネシウム、アルミニウム、亜鉛、鉄、銅の5つについて、「イオンへのなりやすさ」を覚えておく必要がありました。「硫酸マグネシウム」などは、「硫酸」で難しい問題かもしれないと考えすぎず、問題文から金属のイオン化傾向を聞いているということに気が付ければ比較的簡単に解けたでしょう。
【大問3】地学分野
Ⅰは飽和水蒸気量に関する問題(2年範囲)、Ⅱは人工衛星に関する問題(3年範囲)が出題されました。海風、陸風の仕組みや天体の計算問題に慣れていれば解くことができました。また昨年同様Ⅱでは天体から出題となりました。天体は3年生の後半で学習する単元ですので、可能な限り先取りを行い、演習量を増やしておきましょう。
Ⅰは「けあらし」という自然現象に理解する実験を読んで考える問題でした。海風、陸風の仕組みについて理解ができていれば実験結果からの考察ができたと思います。飽和水蒸気量の計算などとは違い、大きく取り扱われることは少ない現象ではあるので、中には難しく感じた人もいたのではないでしょうか。
Ⅱは国際宇宙ステーションの公転について出題されました。半分が計算問題であり、計算自体は易しいものの、桁の数が多かったために計算に時間がかかった人がいたかもしれません。記述の問題も出題されていますが、惑星や衛星は「太陽の光が当たらなければ見えない」ことを覚えていれば、書くことができました。
【大問4】物理分野
Ⅰは音に関する問題(1年範囲)、Ⅱは電熱線を使った発熱の問題(2年範囲)が出題されました。物理分野は、昨年に比べると目新しい仕組みや用語はなく、計算の難易度も下がったため、かなり易化したと思われます。
Ⅰは音の波形を見ながら音の変化についてとらえる実験問題でした。用語、記述は基本的な内容がおさえられていれば答えられる問題です。Hz(振動数)をどのように求めるか、単位と読み方だけではなく、求め方まで理解しておく必要がありました。
Ⅱは電熱線を使って水を温める実験の問題でしたが、4問すべてが計算問題もしくは記述で苦手としている人は多かったかもしれません。ただ実験の内容・理解はさほど難しくなく、解き方を覚えていれば解けた問題でした。

社会

出題形式と配点

大問 出題内容 語句記述
【配点】
選択・数字
【配点】
記述論述
【配点】
合計
【配点】
1 歴史分野 8問 22点 2問 6点 10問 28点
2 地理分野 4問 10点 4問 10点 6問 16点 14問 36点
3 公民分野 5問 10点 6問 14点 3問 12点 16問 36点
合計 9問 20点 18問 46点 11問 34点 40問 100点

問題の傾向と内容

【総評】
今年は記述論述問題が昨年に比べて1割近く少ない3割ほどの構成となりました。しかし完答問題や複数選択問題の出題は増加しており、より正確な知識と資料の読み取りが求められています。また記述問題についても資料から読み取れる要点を、短い言葉で簡潔に言い表す練習は欠かせない傾向にあると考えます。
公民分野でも触れましたが、自身や地域の身近な問題や社会問題についての出題はこれからも続いていくと考えられるため、普段から興味関心を広げていくよう意識しましょう。
難易度としては決して高くなく、各分野の各単元の学習が満遍なく行えており、過去問から傾向がつかめていれば着実に得点できる問題がほとんどです。
【対策】
総評でも触れたとおり、各分野の各単元の学習を満遍なく行い、完答問題や複数選択問題の対策として単元ごとに知識の再確認と演習を繰り返しましょう。記述問題についても資料から読み取れる要点を短い言葉で簡潔に言い表す練習を繰り返しましょう。
答え合わせは自己採点ではなく、必ず他の人に添削してもらうと良いです。そのうえで過去の問題に早く、多く触れ、問題や資料の配置、問題傾向に慣れていきましょう。
また、皆さんの身の周りの問題をどのように解決すればよいのか?という、社会全体に目を向けさせる傾向は変わることはないと思われます。是非、身の回りのニュースや出来事に関心を持ち、お友だちや周りの大人と話をしてみてください。

【大問1】歴史分野
〇テーマ 稲作や税制を題材とした、時代ごとの特徴
〇出題構成
昨年同様に問1での出題となりました。語句記述問題の出題がありませんでした。選択・数字問題は8問で22点分と、昨年に比べ問題数が1問、配点が2点ほど多くなりました。複数選択問題は2問増えて3問出題されています。記述問題の数・配点は昨年と同様に6点となりました。昨年同様、大問1~3、それぞれ満遍なく記述の問題が配分されています。
〇問題構成
単語知識を問う問題の出題が昨年から1問減って配点がありませんでした。選択問題では、すべて正しい情報を選択させる問題で、この構成自体は昨年と大きな変化は見られません。複数選択問題は3問出題されており、【問1-(1)、(3)、(8)】、昨年より2問多くなっています。時代の並べ替え問題も例年通り、1問出題されています【問1-(10)】。複数資料を用いた問題は、1問出題されました【問1-(5)】。
語句記述問題は出題されませんでしたが、複数選択問題が増加しており、今まで以上に各時代の出来事や背景を正確に捉えることが重要だと考えます。また昨年にはなかった略年表を使った問題や、例年並び替え問題も出題されていることから時代の流れも確認しておく必要があります。
【大問2】地理分野
〇テーマ 北海道地方の気候、貿易、観光(日本地理)とブラジルの大豆生産を題材にした問題(世界地理)
〇出題構成
昨年同様に問2での出題となりました。語句記述問題の数は昨年と変わらず、配点は2点増加しました。そのうち1問は選択問題との完答問題、1問は語句のみの完答問題となっています。これは昨年には見られなかった傾向です。選択・数字問題は昨年に比べ2問減り、点数は3点減少しました。複数選択問題は昨年同様1問出題されています。記述問題の数・配点はそれぞれ1問、1点昨年より多くなっています。昨年に引き続き、歴史分野に比べ、地理分野は比較的記述問題が多く出題される傾向が続いています。
〇問題構成
今年度の地理でも昨年同様、複数の資料がちりばめられていますが、資料と問題の配置について昨年から大きな変化は見受けられませんでした。昨年と比べると、資料から読み取れることの理由を問われる問題が2問出題されています。
また完答問題が増えたことにより、より正確な知識と資料の読み取りが必要になります。受験生の皆さんは、なるべく過去の問題に早く、多く触れ、問題や資料の配置、問題傾向に慣れていくことが入試対策として大事になると考えます。歴史・公民分野以上に記述問題にも多く触れておきましょう。
【大問3】公民分野(論述問題含む)
〇テーマ 働き方を題材にした、職業選択や企業、税金、制度に関する問題と再生可能エネルギーについて
〇出題構成
昨年に比べ、公民分野の配点に変化はありません。記述問題が3問減り、配点は9点減少しています。語句記述問題と選択数字問題の出題の数はそれぞれ3問、4問増え、配点はそれぞれ5点、4点増えています。複数選択問題は2問出題され、昨年に比べて1問多くなっています。
〇問題構成
昨年同様、問3に公民分野と論述問題が組み合わされて出題されました。ただ、記述問題が減少し、公民の知識を問う語句・選択問題が増加しました。政治・経済・環境に関する問題が満遍なく出題され、出題数自体増加しています。また職業選択やワークライフバランスなど身近な問題が取り上げられていることも今年の出題の特徴です。論述問題については昨年同様、2つの資料から読み取れることについてふれ、理由と課題について書く問題が出題されています。ここでもエネルギーという身近な課題がテーマとなっています。
公民の問題では、複数資料の情報の要点を一つずつまとめ、文章にしていく問題を通じて、受験生の皆さんに意識してほしい社会問題が取り上げられています。そのため、教科書の知識に限らず、ニュースなどを通じて、社会で話題になっている事柄、また自身の将来にかかわること、地域や身近な問題についても興味関心を広げていくことが、入試対策として大事になると考えます。
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