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2024年度 高校入試解答解説

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2024年度入試解答解説

国語

出題形式と配点

大問 出題内容 漢字/語句
【配点】
文法
【配点】
読解
【配点】
記述(40字以上)
【配点】
合計
【配点】
1 論説文 1問 6点 1問 2点 4問 15点 1問 8点 6(7)問 31点
2 表現 4問 12点 1問 6点 3(5)問 18点
3 漢字 3問 9点 1(3)問 9点
4 古典 1問 2点 5問 16点 4(6)問 18点
5 小説文 2問 4点 4問 14点 1問 6点 7問 24点
合計 7問 21点 1問 2点 17問 57点 3問 20点 21(28)問 100点

問題の傾向と内容

大問数は例年通りの5問となっています。総問題数は、昨年の26問から見かけ上は減りました。ただ、1つの問題の中で複数の問をたてる形式の問題が増え、それらを独立した問題として数えるとやや問題数が増えていると考えられます。今年は、漢文の出題がなかったため返り点の問題がなく、文法から1問だけの出題となりました。一方、読解問題は去年よりさらに問題数、配点共に多くなっています。40字以上の記述問題に関しては、昨年と同様の配点割合となりました。
読解問題では、記号問題が大幅に減り、2つ選べという問題が1問のみで昨年よりも完答形式の問題が減りました。選択肢をしっかり読み込み、答えを1つに絞りこむ形となりますので、消去法などの基本的な選び方で問題を進めることができたのではないでしょうか。一方で、昨年は2問しか出なかった抜き出し問題が5問に戻り、一昨年までと同じような問題構成となりました。設問内にどこから抜き出すのかという誘導が多くあり、比較的スムーズに取り組める内容となっています。抜き出し問題も、記述問題も過去問を解いて形式に慣れておくことが大切です。設問のヒントを読み落とさないように、過去問をはじめ、たくさん国語の問題を解き、読解練習を繰り返すことをお勧めいたします。

【大問1】論説文
内容は、私たちが物事の理解をするにあたって重要な知覚と直感についてでした。よみがな、設問中の空欄となっている箇所に適切な表現を本文から抜き出す、などの例年通りの問題が出題されています。さらに、段落と段落の関係、論理の展開など、論説文を読解するうえで基本的な着眼点をいつでも心に留めて問題を解いていくようにしましょう。また、記述問題は70字以上90字以内で本文から読み取ったことのまとめメモを読み、それについて身近な例を用いて説明をすることが求められました。今回の記述をまとめる上でとても大切なのが本文を読んでしっかり理解した上で別の例を挙げるということです。
本文では、繰り返し、数学の証明を書いたり、クラシック音楽を聞いたりすることで直感的に捉えられることを説明しています。それを踏まえ、全ての条件を意識して模範解答のような文章を作るのは試験時間内では難しいかもしれませんが、部分点もありますので、繰り返し行うことで直感的に捉えられることを具体的に考え、述べてみると良いでしょう。普段から、設問で求められていることを1つも読み落とさないように注意深く問題を解き進めること、さらに、過去5年間分の長野県の過去問演習を繰り返し行い、どのように文章をまとめれば良いのか、傾向をおさえておくことが大切です。
【大問2】表現
生徒会の役員会で生徒会目標のもと、各委員会の活動計画作成に向けて話し合っている場面からの出題となりました。資料が話し合いの様子の会話文も含め3つとなっています。今年も昨年と同じく全て読解問題となりました。ただ、問題のレベルとしては例年と変わらず、発言の意図や役割を読み取らせる基本的な問題や資料のスライドの見出しを選ばせる問題となっています。
また、大問1に引き続き、55字以上65字以内で、会話文を参考に充実感と達成感について書かせる問題が出題されました。こちらは、文字数が例年よりさらに多く、一見難しそうに見えますが、「会話文の中の言葉を用いて」という部分を読み落とさなければ容易に記述できる問題です。こちらも、例年の出題傾向と類似しているため、長野県の過去問演習を欠かさず行っておきましょう。
【大問3】漢字
誤って使われている漢字を探し、同じ読みの漢字で正す問題です。出題の仕方は昨年と変わりませんでしたが1問2点から1問3点になりました。全て間違えてしまうと痛い失点となります。漢字の意味や言葉の意味にも着目し、同音異字、同訓異字について普段から力を入れて学習しておきましょう。
【大問4】古典
古文の『枕草子』の一節が3つ出題されました。例年通り、現代仮名遣いが出題されています。また、読解問題では、主語の把握ができているか、古文を理解したうえで設問の文章に当てはまる言葉を抜き出せるかが問われました。随筆が題材だったことで、人間ではなく、清少納言が感動した自然界のものが主語となっていたため、きちんと丁寧に文章を追っていかないと捉えづらい文章だったかもしれません。そのため、昨年より若干難易度が上がっているといえます。
また、30字以上40字以内で、本文を現代語に直して記述する問題が出題されました。与えられたキーワードによって、どの部分を記述すべきか分かった受験生は多かったと思います。普段から、文中に添えられている現代語訳や設問を参考に、できる限り自分の言葉で本文を表現する練習をしておくと良いでしょう。
【大問5】小説文
吹奏楽部の強豪校で、主人公は部員として活動するも大会やコンテストには出られず、保育園児にミニコンサートを行うという場面からの出題でした。今年は、熟語の構成が問われました。昨年と同様、他県の過去問も使用して知識問題の様々な傾向に慣れておくと良いでしょう。また、本文の表現と同じ意味となる慣用句を選ぶ問題も出題されました。昨年は同じ形式で四字熟語を選ばせる問題だったので、四字熟語、慣用句、故事成語などに関心を持って、学習をすすめていきましょう。
今回、記述問題は2問出題され、1問は、比喩表現から伝わる情景を記述させる空欄補充問題でした。字数は30字以内となっており、空欄の前後をよく読んでその部分につながるように情景をまとめる力が必要です。もう一つは、最終問題の50字以上60字以内の記述問題です。こちらは昨年より若干の字数減少となりました。最後の一文に関する主人公の心情を考えるために、付せんという形で資料が2つ与えられており、それぞれの資料を踏まえて、課題から逃げようとしたこと、幼い頃憧れた存在になれたこと、それに満足したことの3点をまとめる必要があります。資料のキーワードを的確に抜き出し、さらに本文の登場人物の心情が最初と最後でどう変わっていったのか理解する力が必要です。普段から、物語の中で、どのように登場人物の心情が変わったのか、何がそのきっかけとなったのか、読解する時は必ず考えるようにしてみてください。

数学

出題形式と配点

大問 出題内容 基本
【配点】
記述・作図
【配点】
応用
【配点】
合計
【配点】
1 基本計算・図形(求角・作図)・確率 11問 33点 1問 3点 12問 36点
2 データの活用・連立方程式の利用・空間図形 6問 17点 1問 2点 1問 3点 8問 22点
3 Ⅰ:一次関数の利用 Ⅱ:反比例 6問 14点 3問 9点 9問 23点
4 平面図形 3問 8点 1問 5点 2問 6点 6問 19点
合計 26問 72点 3問 10点 6問 18点 35問 100点

問題の傾向と内容

昨年度(令和5年度)と比較して、問題数、配点、出題傾向について大きな変更点はありませんでした。内容については基本問題の配点割合が少し高くなり、昨年度(令和5年度)と比較すると全体的に易化しました。
一方で文章量が多く情報を正確に読み取ることが難しい問題もあり、時間配分や解くべき問題選びなどの重要さが際立った入試でした。
対策は、問の構成や出題傾向を理解するために長野県入試過去問を解くことです。またそれだけではなく他の都道府県の入試問題を解き、様々な問題パターンに慣れることや数学で必要な表・グラフ・問題文を読み取る力を鍛えることが必要です。

【大問1】基本計算・図形(求角・作図)・確率
■出題内容
問題数、傾向に大きな変更はなく、配点も12問×3点の36点と昨年同様です。内容は基本計算、作図、求角、確率、関数知識など。(6)ではあまり出題のなかった比例式の利用の問題が出題されました。長野県内で広く採択されている中1教科書の例題の類題です。同様に(10)の問題も中2教科書の類題です。(8),(9)の問題は平成30年度の長野県入試に類題が出題されています。
■対策
問1はテストの3分の1の配点があります。長野県入試を攻略する上ではまず問1を確実に得点できるようにすることが重要です。そのためには中1~中3の計算や各単元の教科書レベルの基本問題が素早く正確に解けるように練習することが必要です。また類題も出題されるため、長野県の入試過去問の問1や他の都道府県の入試過去問の問1で練習を重ねることが大切です。
【大問2】データの活用・連立方程式の利用・空間図形
■出題内容
例年と傾向の変化はありません。今年は3つの単元から構成されていました。1つ目の単元は資料の整理です。基本問題ではありますが、ヒストグラムや度数分布表から情報を読み取り解答する問題でした。2つ目の単元は連立方程式です。割合の問題で1つの問いに対して2つの式を立てたり説明する問題が出題されました。3つ目の単元は空間図形です。回転体は近年あまり出題がありませんでした。特にⅡ(2)は条件を読み取り複数の公式を使い値を求め、そこから割合を求める必要があり、少し難易度が高い問題でした。
■対策
問2は様々な単元から2~3単元が出題されます。特に連立方程式の利用、規則性、文字式による説明、資料の整理、データの分析、空間図形からの出題が多い問です。これらの単元のどれが出題されても対応できるように練習する必要があります。式の立て方や公式の使い方、解法などをしっかりと身につけて苦手な単元があれば1つ1つ確実に出来るようにすることが大切です。
【大問3】Ⅰ:一次関数の利用 Ⅱ:反比例
■出題内容
問題数に変更はありませんでした。Ⅰは一次関数の利用と例年通りで、Ⅱは二次関数の出題がなく反比例の出題でした。Ⅰに関しては頻出の速さの問題で、前提条件やグラフから必要な数値を読み取って式に表すなど論理的に考える力が必要でした。Ⅱは格子点、座標を文字で表すこと、図形の面積とその二等分線など座標平面での基本的な操作が問われる問題でした。
■対策
問3は関数の出題が続いています。特に「一次関数の利用」、「二次関数」は頻出です。一次関数の利用は身近なテーマ(料金、速さと時間、水そう)が出題されます。複数のグラフの交点や座標が何を表しているか、またそれぞれのグラフの式を求める力が必要です。全体的に文章量や情報量が多く、必要な情報だけを読み取る力が必要です。
二次関数はy=ax2のaの値の求め方、座標平面上の三角形の面積、等積変形の利用など関数や座標の扱いに慣れている必要があります。どちらの問題も長野県だけではなく他の都道府県の入試でも頻出のため、様々な問題に触れて情報の読み取りや立式に慣れて解ける力をつけましょう。今年のように比例・反比例が座標平面で出題されるケースもあります。一次関数や二次関数と比例・反比例が複合する問題についても解けるように対策が必要です。
【大問4】平面図形
■出題内容
問題数、傾向について大きな変更はなく、例年通り平面図形に関する出題となりました。問4は例年難易度が高く、証明の記述問題もあるため時間のかかる問です。今年も例年同様難易度の高い問題がありました。(1)求角、(2)①証明の穴埋めなどは基本の問題のため、素早く解く必要がありました。また(2)②の相似の証明では「2組の辺の比とその間の角がそれぞれ等しい」という相似条件を使った証明でした。
長野県入試では相似条件「2組の角がそれぞれ等しい」の出題が多かったため少しだけ変化がありました。また(4)は例年難易度が高い問題です。今年も例年同様難しく差がつく問題が出題されました。補助線を引いて相似の関係に気づくことができるかがポイントでした。
■対策
平面図形は慣れが必要です。まずは中2で学習する「三角形・四角形」、中3で学習する「円周角」、「相似」、「三平方の定理」などの基本が出来ることが重要です。その上でこれらが複合した問題を演習する必要があります。しかし相似や三平方の定理は中3の2~3学期で学習する単元のため、対策がどうしても最後になってしまいます。
学習してから入試までの期間が短いため、短期間で応用問題に対応する力を身につける必要があります。可能な限り中3の12月までに三平方の定理まで学習を終わらせて、入試直前の冬休みには長野県の過去問などを利用して平面図形の対策に入りましょう。

英語

出題形式と配点

大問 出題内容 記号
【配点】
記述
【配点】
合計
【配点】
1 リスニング 8問 18点 1問 2点 9問 20点
2 小問・英作文 5問 15点 4問 14点 9問 29点
3 複合読解 7問 16点 1問 8点 8問 24点
4 長文読解 7問 17点 4問 10点 11問 27点
合計 27問 66点 10問 34点 37問 100点

問題の傾向と内容

昨年と同様4つの大問で構成されていましたが、問題の入れ替えがありました。昨年までは【問3】長文読解、【問4】複合読解(短文が3~4つで構成)でしたが、今年は【問3】複合読解、【問4】長文読解という構成でした。解きやすい問題が増え、文章量も減ったため難易度は昨年度と同様、あるいは易化したと言えます。
問題形式で見ると、記号で答える問題が66点分、記述問題が34点分でした。昨年度は記号問題の配点が58点分、記述問題の配点が42点分だったことから、記述問題がやや減ったことが分かります。『現在完了進行形』『原形不定詞』『仮定法』は出題されませんでしたが、来年度は出題される可能性が高いと予想されます。

【大問1】リスニング
(1)はイラストを見て正しいものを選ぶ問題、(2)は対話文、電車の車内放送を聞き、質問に答える問題、(3)は100語程度のインタビューを聞き、正しいメモを選ぶ問題、(4)は80語程度の農場体験学習の担当者の話を聞き、メモを完成させる問題でした。(1)は例年通り問題が一度しか流れないので集中して聞かなくてはいけません。特にNo.3は難易度が高く、普段から英語を聞くことに慣れている必要があるでしょう。
(4)は昨年度から出題されている適語補充の問題でした。昨年度は自分で考えて答える必要がありましたが、今年は聞き取りさえできれば答えられたので解きやすかったと思います。リスニングの対策は難しいですが、ネイティブの発音や抑揚やスピードに慣れるように、洋画や洋ドラマを字幕つきで見ることをお勧めします。
【大問2】小問・英作文
Ⅰ(1)は適語を記号で答える問題、(2)(3)は不足している語句を補い、英文を完成させる問題です。特に(2)(3)は単語力、及び文法の知識が問われる問題で、毎年正答率が低い傾向にありますが、今年度は比較的解きやすい内容でした。
出題されたのは接続詞、疑問詞、過去形、動名詞、不定詞と中学2年までの文法内容ですが、(2)(a)は現在完了形と間違えやすい問題でした。時制という大きなカテゴリーで文法を理解しなくてはいけません。日ごろから文法問題を鍛えていく必要があります。Ⅱは、水筒利用の状況に関する短文とグラフ、イベントのポスターを読み、正しいものを選択する問題でした。比較的解きやすい問題でしたが、単語を正確にとらえる必要があります。それでも頻出単語ばかりなので、対策はしやすいでしょう。
【大問3】複合読解(紹介文)
■本文要約
「私たちの地域の祭り」というテーマで、3人の生徒が各国の祭りを紹介しあっている。ブラジル出身のベンはリオデジャネイロのカーニバルについて、祭りの概要とその準備に必要な努力こそが重要だと締めた。台湾出身のメイリンはランタンフェスティバルについて、祭りの概要とランタンに込められた意味について紹介した。鈴は新潟の白根大凧合戦について、祭りの概要についてスライドを使用しながら説明をした。
■問題傾向
地域の祭りに関する100~180字程度の短文を3つ読み、それぞれ1~3問の問題に答える形式でした。短文ごとに問題が設定されているので、長文が苦手な方にとっても取り掛かりやすいでしょう。昨年度は短文が4つでしたが3つに減り、全体的に文章量は減っています。本文の内容に合うものを選ぶ問題、話の順になるようにスライドを並び替える問題など内容読解を中心に出題されました。ただ本文にはっきりと書かれており、事実と意見の見分けなど解きやすい問題も多かったと言えます。
毎年恒例の英作文は、提示された2つのアイデアのうち、どちらがいいか理由と共に20語程度で書く問題でした。文法を正しく使えるか、単語を正しいスペルで適切に使用できるかがポイントになるので、こちらも普段からの練習が必要になります。
【大問4】長文読解(レポート)
■本文要約
上山英一郎はアメリカに住む貿易商から除虫菊の種を受け取り、そこから殺虫効果のある粉の製造に成功した。ある日、蚊を追い払うものを作れないかと相談をされ、試行錯誤の上、世界初の棒状の蚊取り線香を発明した。しかし、それは40分間しかもたず、割れやすいという課題があった。5年後、渦巻き状の蚊取り線香を作った。これは6時間燃え、壊れにくかった。それでも大量生産ができないという問題があったので、様々な方法で渦巻き状の蚊取り線香を作った。上山は多くの問題を抱えても諦めず、人々の助けとなるものを作った。
■問題傾向
蚊取り線香を発明した上山英一郎さんに関する純のレポートです。350字程度の内容で、例年よりも若干少ない文章量でした。本文の内容に合うものを選ぶ問題、空欄に適した文を選ぶ問題、適語補充の問題、レポートのタイトルをつける問題など内容読解を問われるものが主体となっています。適語補充の記号問題は2問出題され、接続詞や熟語の知識が必要でしたが、決して難しくはありません。
記述式の適語補充の問題は2問出題され、1つは抜き出し、もう1つは自分で考えて書く必要がありました。本文の内容を正確に理解していること、単語の知識が必要となり、難しく感じたと思います。しかし単語は頻出のものだったので、長文を読み慣れていれば正解できる問題です。単語・文法の基礎知識、長文問題をどれだけ練習してきたかが鍵になるため、早いうちから長文問題に取り掛かるようにしましょう。

理科

出題形式と配点

                                                                                  
大問 出題内容 記号・数字
【配点】
用語・化学式
【配点】
計算
【配点】
作図・グラフ
【配点】
記述
【配点】
合計
【配点】
1 生物 4問 10点 3問 8点 2問 7点 9問 25点
2 化学 4問 11点 1問 2点 2問※ 6点1問 3点 1問 3点 9問 25点
3 地学 3問 8点 2問 5点 3問 12点 8問 25点
4 物理 2問※ 5点 3問 8点1問 3点 3問※ 9点 9問 25点
合計 13問 34点 6問 15点 5問 14点2問 6点 9問 31点 35問 100点
※記号選択と記述などの完答問題を含む。

問題の傾向と内容

例年通り、生物・化学・地学・物理の各分野から均等に出題されました。
昨年と比較すると記述問題の数が8問から9問に増え配点も22点から31点に増えました。一方で計算問題の量は昨年の9問(24点)から5問(14点)まで下がり、記号や用語、作図などで50点以上得点することができるようになっています。「すべて選びなさい」という選択問題の多さや、記述の文章量の増加により、試験全体を通して昨年に比べるとやや難化しています。ただし、問題の難易度自体は比較的平易で、解きやすい問題も多くありました。昨年がかなり簡単だったため、難しくなったように見えるかもしれませんが、過去5年の内容を考えるとそれほど難しいとは言えませんでした。
記述問題を対策していると、まず「どうやって答えたらよいのかわからない」という悩みがでてくる思います。理科の記述問題は、基本的な用語解説などの比較的定番の問題は解答を覚えてしまいましょう。実験考察については、まず問題文をよく読み、「何について答えるのか」を確認してから、実験の必要な部分を確認して記述する練習をしてみましょう。どちらの問題も「答え合わせ」が大切です。何を答えてほしいと思って出題しているのか、どのように書けば正解なのかを解答や解説をよく読んで確認する習慣をつけてください。

【大問1】生物分野
Ⅰではカイワレダイコンの成長(1年範囲)、Ⅱでは生態系(3年範囲)が出題されました。Ⅰ、Ⅱとも、計算や作図はなく、選択問題や用語記述が多かったため、比較的解答しやすかったでしょう。ここで大きく得点できた人もいたのではないでしょうか。
Ⅰはカイワレダイコンの成長に関する実験結果を見て設問に答える形式でした。前半の基本的な用語や記述は取り切りたいところです。後半の実験の問題については、「光を当てないと軸がのびる」ということがつかめれば、選びやすい選択肢だったと思います。Ⅱは生態系についての出題でした。長野県ではあまり出題されたことのない単元で、戸惑った人もいるかもしれません。食物連鎖の図の読み取りや、生態ピラミッドの読み取りに慣れておく必要がありました。生態系は3年生の後半で学習する単元です。昨年の天体(地学分野)同様、3年生の範囲は少しでも早く終わらせて、最後の単元まで演習量を確保しておく必要がありそうです。
【大問2】化学分野
Ⅰは窒息消火と希釈消火の実験(2年範囲)、Ⅱは水の電気分解(3年範囲)についての出題でした。大問2は比較的定番の内容でしたが、実験にやや工夫が加えられているため、理解が難しいと感じた人もいるかもしれません。
Ⅰは2つの消火方法について、実験を読んで考える問題でした。選択問題については、あまり難しくなく、解きやすかったと思います。計算問題についても、実験をきちんと読み取ることができれば、計算の手順はやや複雑かもしれませんが、求められる問題でした。記述問題については、硫黄と鉄の反応に、酸素が必要ないことを理解しておく必要がありました。Ⅱは水の電気分解の問題でした。定番の実験ではありますが、途中で電流の向きを変えるという一工夫があったため計算問題はやや悩む人もいたかもしれません。選択問題については水素の性質を「すべて選ぶ」必要があり、性質をきちんと把握しておく必要がありました。
【大問3】地学分野
Ⅰは礫、砂、泥の堆積と波の関係について(1年範囲)、Ⅱは天気図に関する問題(2年範囲)が出題されました。地学分野は比較的解きやすい問題が多かったと思われます。
Ⅰは三保半島の地形のでき方を理解するための実験を読んで考える問題でした。それほど複雑な実験ではないため、「重いものは沈みやすい、小さいものは流されやすい」ことを念頭に置いて実験が読めれば解けたでしょう。Ⅱは前線の通過に伴う気温や風向きの変化に関する問題で、問題集でもよく目にする問題です。取り組みやすい問題だったのではないでしょうか。記述問題は雲のできかたと、高気圧、低気圧の関係を押さえておけば書けたと思います。
【大問4】物理分野
Ⅰは橋を支えるケーブルに関する問題(3年範囲)、Ⅱは反射板に関する問題(1年範囲)が出題されました。物理分野は、特にケーブルに関する問題を難しく感じた人が多かったのではないでしょうか。
Ⅰはケーブルで橋げたを支える構造について、支柱の高さや間隔を変えて考察する実験問題でした。記述は2つの実験の結果を組み合わせて考える必要があり、やや難易度が高めでした。他の問題の解答で使っていない「角度」に着目して考えられると解きやすかったかもしれません。Ⅱは反射板の大きさと光の道筋について実験を読み取る問題でした。素直に問題を読めば答えられる問題も多く、比較的取り組みやすかったかもしれません。Ⅰを難しく感じた人はこちらで得点する必要がありました。

社会

出題形式と配点

大問 出題内容 語句記述
【配点】
選択・数字
【配点】
記述論述
【配点】
合計
【配点】
1 歴史分野 1問 3点 8問 23点 1問 3点 10問 29点
2 地理分野 6問 14点 4問 11点 3問 10点 13問 35点
3 公民分野 3問 7点 5問 14点 4問 15点 12問 36点
合計 10問 24点 17問 48点 8問 28点 35問 100点

問題の傾向と内容

【総評】
今年は記述論述問題が昨年に比べて1割近く少ない2割ほどの構成となりました。また全体の出題数が昨年より5問少なくなり、1問あたりの配点が高くなりました。完答問題や複数選択問題の出題数に大きな変化はありませんが、今年は資料の読み取りに加えて、より正確な知識を問われる問題が多い傾向です。問題自体は基礎的な問題が多く、問題集や過去問で触れることのできる問題がほとんどでした。また長野県を題材にした問題やごみの問題など自身や地域の身近な問題や社会保障や国の制度などの社会問題についての問題は例年出題されているため、普段から興味関心を広げていくよう意識しましょう。
難易度としては決して高くなく、基礎知識の定着を図り、過去問から傾向がつかめていれば着実に得点できる問題がほとんどです。
【対策】
総評でも触れたとおり、基礎知識の定着を図り、出題の傾向をつかむために問題集を繰り返し解き、過去問に早く、何度も取り組みましょう。また漢字指定の問題も散見されたため、語句は漢字で書けるように意識して学習してください。
記述問題についても資料から読み取れる要点を短い言葉で簡潔に言い表す練習を繰り返しましょう。また字数制限や字数指定のある問題が増加傾向にあります。
10字程度、50字程度、80字程度の記述問題に多く触れられるよう学校や塾の先生に相談し、採点も自己採点ではなくほかの人にお願いして精度を高めていきましょう。 また、皆さんの身の周りの問題をどのように解決すればよいのか?という、社会全体に目を向けさせる傾向は変わることはないと思われます。是非、身の回りのニュースや出来事に関心を持ち、お友達や周りの大人と話をしてみてください。

【大問1】歴史分野
〇テーマ 木材の管理・利用の資料からの各時代の特徴について知識を問う問題
〇出題構成
昨年同様に問1での出題となりました。語句記述問題が1問出題されました。選択・数字問題は8問で23点分と、昨年に比べ問題数は同じく、配点が1点ほど多くなりました。複数選択問題は1問減って2問出題されています。記述問題の数・配点は昨年から1問、3点減って、1問、3点となりました。
〇問題構成
単語知識を問う問題の出題が昨年から1問増えて記述問題が1問減りました。選択問題では、すべて正しい情報を選択させる問題で、この構成自体は昨年と大きな変化は見られません。複数選択問題は2問出題されており【問1-(8)、(9)】、昨年より1問少なくなっています。時代の並べ替え問題は今回出題がありませんでした。略地図と略年表複数資料を用いた問題は、1問出題されました【問1-(2)】。
昨年はなかった語句記述問題が出題され、複数選択問題が少なくなりました。読み取りよりも単純に知識を問う問題が多くなったことから語句や各時代の出来事、制度、特徴を正確にとらえておく必要があります。また、昨年同様略年表を使った問題も出題されていることから、時代の流れや年号も確認しておく必要があります。
【大問2】地理分野
〇テーマ 長野県と沖縄県を比較した気候、地形、産業(農業、工業、観光業)の特徴(日本地理)とオーストラリアの貿易、民族、文化の変化(世界地理)
〇出題構成
昨年同様に問2での出題となりました。語句記述問題の数は昨年より2問増え、配点は4点増加しました。そのうち1問は完答問題、そして漢字指定が1問出題されています。また字数指定、制限のある問題が3問出題されています。選択・数字問題は昨年と問題数は同じく、点数は1点増加しました。
複数選択問題は昨年から1問増え、2問出題されています。記述問題の数・配点はそれぞれ3問、昨年より6点少なくなっています。昨年は記述問題が一番多かった地理分野ですが、今年は公民分野よりも少ない出題となっています。
〇問題構成
今年度の地理でも昨年同様、複数の資料がちりばめられていますが、資料と問題の配置について昨年から大きな変化は見受けられませんでした。昨年と比べると、地理分野でも略年表を使った問題であったり、50字から70字程度の記述問題などやや新しい傾向がみられます。また歴史分野同様、知識を問われる問題が目立ちました。
しかし出題されていることは多くの問題集や過去問で扱われているものがほとんどです。受験生の皆さんは、なるべく過去の問題に早く、多く触れ、問題や資料の配置、問題傾向に慣れていくことが入試対策に大事なことになると考えます。定番の記述問題を繰り返し解き、基礎知識の定着に励みましょう。
【大問3】公民分野(論述問題含む)
〇テーマ 日本の人口減少による労働力、消費、社会保障への影響について
〇出題構成
昨年に比べ、公民分野の配点に変化はありません。記述問題が1問増え、配点は3点増加しています。語句記述問題と選択数字問題の出題の数はそれぞれ2問、1問減り、配点は語句記述問題が3点減り、選択数字問題の配点は変わりませんでした。複数選択問題は昨年同様2問出題されました。また誤っているものを答える問題はなく、すべて適切なものを選ぶ問題でした。
〇問題構成
昨年同様、問3に公民分野と論述問題が組み合わされて出題されました。記述問題が増加しましたが、公民分野の出題数自体は減少しています。今年の特徴としては税金や金融政策、衆議院の優越など知識を問われる問題が増加していることが挙げられます。論述問題については3つの資料から読み取れることについてふれて、理由と課題について各問題が出題されています。また理由と課題についてそれぞれ2つずつ選ぶこと、すべての資料を必ず1回は選ぶことという条件がついています。出題の仕方に戸惑った受験生も少なくないのではないでしょうか。論述問題のテーマはゴミの排出量についてという身近な課題となっています。
昨年同様、公民の問題では、問題を通じて、受験生の皆さんに意識してほしい社会問題が取り上げられています。そのため、教科書の知識に限らず、ニュースなどを通じて、社会で話題になっている事柄、また自身の将来にかかわること、地域や身近な問題についても興味関心を広げていくことが、入試対策として大事になると考えます。
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