【想いに応えられるように】

その生徒には私が大学受験専門の指導をしていた頃に出会いました。彼女は通信制高校に通いながら、「どうしてもこの大学に行きたい」と、強い決意を持って私たちを訪れてくれました。しかし、当時のカリキュラムは難関大学向けのものが中心で、彼女の学力や状況に合った講座は、正直あまりなかったのです。

それでも、ここで頑張るという想いがあり、そして彼女は諦めませんでした。毎日自習室に通い、何度でも質問を重ね、家でしっかり基礎を固めていきます。どんなに遠回りに見えても、自分のペースで前へ進もうとする姿に、私は胸を打たれました。そして同時に、こんなに努力している生徒に対して、塾として十分な提案ができないことに、歯がゆさも感じました。

最終的には、志望していた大学より現実的な選択をすることに。でも、合格の知らせを受けた時の彼女の笑顔は、今でも忘れられません。「ここにいたおかげで、ここまで来られた」と誇らしげに語る姿は、頼もしくもありました。

この経験を通して痛感したのは、学びを願う生徒が、その環境や立場によって可能性を閉ざされたりしないようにしなければいけないということ。こちらも十分に応えられるメニューを用意して、一人ひとりの「学びたい」という想いを見逃さず、支え続ける存在でありたいと思います。

※本欄では、ベルーフアカデミー、東進衛星予備校で学ぶ生徒たちの目標達成に向けた日々の頑張りや成長の様子などを紹介しています。